『クラシック音楽』の世界

クラシック

「クラシック音楽」と聞くと、何かとっつきにくい、ちょっとむずかしい、近寄りがたいといったイメージを持つ人も多いかもしれません。

しかし、日本はクラシック大国ともいえるほどクラシックとは縁が深く、現在はコロナ禍のために公演自体はグッと減っていると思いますが、例年でいいますと、日本のオーケストラ団体は年間3000回以上の公演を催しており、そのほかにも世界各国から数多くのオーケストラが来日して、年間300回を超える公演を開催しています。

そして、あまりクラシックに興味がないという人たちも、知らず知らずのうちにずいぶん身近なところでクラシック音楽を聞いてたりして、たとえばテレビのコマーシャルやドラマの中、あるいは携帯電話やドアフォン、時計などでもクラシック音楽はよく使われています。また、最近ではクラシックをベースにしたドラマや映画などもよく見かけますね。

また、街中でも気づかないうちにクラシック音楽はいろんなところから自然と耳に入ってきます。

私たちにとってクラシック音楽は割と身近な存在であり、ちょっと深く知るだけでも、その魅力をより一層感じられると思います。

そんなクラシック音楽について、少し掘り下げて見てみましょう。

 

クラシック音楽とは

私たちが普段慣れ親しんでいる一般的な「クラシック音楽」とは、西洋芸術音楽という大きな流れの中の一部分をいいます。

西洋芸術音楽とは、ヨーロッパを中心とした西洋の芸術音楽ですが、その歴史は古く、1000年以上の歴史があり、いわゆる「クラシック音楽」というのは、17世紀から20世紀頃までの作曲家によって作られた音楽をいいます。

そして、その中でも特に私たちがよく耳にする慣れ親しんだクラシック音楽は、18世紀から20世紀初頭頃までのおよそ200年間に作られたものです。

その頃がまさにクラシックが世に花開いた輝かしい時代であり、その輝きはこれからも後世に末永く受け継がれていくことでしょう。

 

クラシック音楽のジャンル

クラシック音楽のジャンルとして、次のようなものがあげられます。どのような違いがあるのか、見ていきましょう。

 

〈交響曲〉 オーケストラのための大規模な楽曲で、複数の「楽章」で構成されています。ちなみに、「交響曲」と日本語に訳したのは、明治の文豪・森鴎外だそうです。

〈管弦楽曲〉 オーケストラのために書かれた、交響曲より小規模な楽曲の総称です。たとえば、交響詩や組曲など、様々な種類の管弦楽曲があります。

〈協奏曲〉 独奏者(ソリスト)が主役となり、オーケストラと共に演奏するもので、ピアノやヴァイオリンの独奏者がその秀逸な演奏を披露する華やかな作品が多いのも特徴的です。オーケストラが休んでいる間、独奏者だけが即興的な演奏をする「カデンツァ」と呼ばれる聴きどころが用意されています。

〈室内楽曲〉 2人以上の小編成で演奏される楽曲の総称です。もともとは王侯貴族が演奏家を招いて宮廷の広間で演奏させたのが始まりです。

〈ピアノ曲〉 独奏ピアノのために書かれた作品の総称です。複数の楽章で構成される「ピアノ・ソナタ」は、歴史的な名作も多いです。

〈声楽曲〉 声が主役となる楽曲の総称です。1人で歌う独唱から4人程度のアンサンブル、そして100人を超える合唱のように大規模なものまで幅広くあります。

〈オペラ〉 歌を中心とした舞台芸術です。オペラはオーケストラに加えて、歌手、演出家、ダンサー、合唱、衣装、舞台美術家などの数多くの人々が関わって作り上げられていきます。

〈バレエ音楽〉 踊り(バレエ)と一体となって物語を表現する音楽です。バレエとは関係なく、オーケストラだけでもコンサートができるように、「バレエ組曲」として編曲することも一般的で、有名なものでは『白鳥の湖』『くるみ割り人形』などがあります。

 

曲名のルール

曲名には曲の情報を知るためのルールがあります。

わかりやすいものを例に挙げると、ベートーヴェンの『運命』という楽曲の正式名称は、次のように表記されます。

ベートーヴェン 交響曲 第5番 ハ短調 Op.67 『運命』

これは、左から順番に、(作曲者名)(ジャンル)(番号)(調性)(作品番号)(タイトル)を表しています。

つまりこれは、「ベートーヴェンの作った交響曲のうち5番目の曲」ということです。そしてその後の調性とは、楽曲のベースとなる音の秩序を表しており、簡単にいえば「〇〇長調」なら明るい調子、「〇〇短調」なら暗い調子と言えます。そして作品番号とは、作曲家によってその付け方が様々なようで、作曲順の場合もあれば、出版順の場合もあるようです。そもそも昔は楽譜として世に出回ることは考えていなかったので、作品に番号を付けるなどという考え方がなかったそうです。しかし、後になって楽曲を整理するために作品番号が付けられるようになりました。最後にタイトルですが、これはいわば通称で、作曲家自身が付けたものもあれば、出版社や興行師が付けたものもあります。

 

クラシック音楽の歴史

クラシック音楽の歴史は時代によって分類されていますが、細かな枠組みは人によって多少の違いがありますので、ここでは古い順から次の四つに分類してみました。

中世・ルネサンス時代」「バロック時代」「古典派時代」「ロマン派時代~近現代

「中世・ルネサンス時代」は、クラシック音楽のルーツが形成された時代です。

「バロック時代」は、私たちのよく知るクラシック音楽が作られるようになった時代です。代表的な作曲家として、バッハとヘンデルがあげられます。

「古典派時代」は、より華やかな交響曲が作られるようになった時代です。おもな作曲家として、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンらがあげられます。

「ロマン派時代~近現代」は、それまでの音楽をより一層彩り豊かに発展させた時代です。この頃の有名な作曲家は大勢いて、代表的な作曲家をあげるのは難しいですが、シューベルト、リスト、チャイコフスキーなど、名だたる作曲家が活躍しました。

 

まとめ

クラシック音楽を少し掘り下げて見ていきましたが、ちょっと知るだけでもクラシックとの距離が縮まり、聞き方も変わってくるかなと思ったりします。

私も幼い頃はただ眠くなるだけの音楽でしたが、学生の頃、吹奏楽をしていて、クラシックの楽曲を吹奏楽として演奏する機会があり、少し曲を知るようになると、そのダイナミックな演奏や繊細な旋律が心を揺さぶり、奥深い演奏を味わうことが出来ました。

なかなかコンサートにいく機会はありませんが、CDだったりYouTubeでも数多くの演奏を聴くことが出来ます。

まずは曲を知るところから、そしてその前に、クラシック音楽に近づく機会を持つところから始めるのもよいと思います。

これからも少しずつ、クラシックの魅力を伝えられたらと思います。